Bon anniversaire,Maurice! ラヴェルのお誕生日会


本日3月7日は、フランスの作曲家モーリス・ラヴェルのお誕生日。 1875年にバスク地方のシブールで生まれ、国際色豊かで革新的な空気感のあった時代のパリで音楽を学び、エキゾチックで独立した作品をたくさん生み出したラヴェル。 そんな彼の生誕を祝い、お気に入りのディスクをご紹介。


エレーヌ・グリモー

ラヴェルを弾くピアニストの名演はたくさんあって、ベストは決めがたいけれど、コンチェルトで印象的なのはエレーヌ・グリモーの音楽。 こんなに”ト長調”の響きが似合う演奏家っていないんじゃないかと思ったピアニスト。 ジャズ調のテンションも、2楽章の穏やかなシーンも、ひとつの映画みたいにカジュアルに弾きこなす姿がチャーミング。 私は茂木健一郎さんが何かの著書で、「ラヴェルのピアノ協奏曲に邦題をつけるとしたら、『初恋』と名付けたい」ということを言っていたのが忘れられなくて、この曲を聴くといつも恋の始まりを思い出す。

Helene Grimaud: The Warner Recordings (ワーナー・クラシックス

パスカル・ロジェ

ラヴェルフリークなら1枚持っておきたい、ピアノ全曲集。 今日何聴こうかなと考える余裕がないときの、ワードローブ的存在のディスクがパスカル・ロジェのもの。 だって、《水の戯れ》も《夜のガスパール》も《鏡》も入ってるし! シンプルかつ上質なピアノ曲が収められた1枚があれば、忙しい毎日も穏やかに過ごせるはず。

ラヴェルピアノ曲全集 (ユニバーサル ミュージック クラシック)

アルバン・ベルク四重奏楽団

弦楽四重奏は、あえて奇をてらってウィーンの精鋭楽団、アルバン・ベルク四重奏楽団(ABQ)をチョイス。ウィーンの伝統的な音楽も守りつつ、20世紀以降の音楽を積極的に取り入れている、現代音楽ファンが注目している楽団。 ABQが細部まで考え抜いて精巧に作り上げた柔和なラヴェルの音楽は、フランスの音楽家たちのカラフルな演奏とまた違い、新鮮な気分を味わえる。

ドビュッシーラヴェル:弦楽四重奏曲ワーナーミュージック・ジャパン



Chocolat Selectione: クラシック女子的ショコラの選び方

今週末に迫った“La Saint-Valentin”。 2月は無条件に街中がピンク色に染まる感じとか、ひたすらラブリーになれる空気があって大好き。 フェブラリー、っていう響きも好き。 こんな時期だけは、思いっきりロマンス映画や恋愛小説に浸っても許される気がする。 何はともあれ、日本のバレンタインに欠かせないのはやっぱりショコラ。 あちらこちらの催事場で、有名メゾンの限定品が出ているのでたまりません。 たかがお菓子に数千円もかけるなんて…なんて杞憂はナンセンス。 素敵なパッケージに完璧なテンパリングの宝石、これを味わうときばかりは庶民の私たちが貴族の気分に耽ることができるのだから。

on recommand

■Christine Ferbere

フランス・アルザス地方にメゾンを構え、“コンフィチュールの妖精”と呼ばれるフェルべール女史。 日本ではなかなかお目にかかれない彼女のコンフィチュールは、果実のいいところだけをぎゅぎゅっと煮詰めたような、みずみずしい甘さ。 そのコンフィチュールを使ったショコラを味わえるのも、この時期の楽しみ。 絵本のようなパッケージも可愛くて、ずっととっておきたくなります(私は去年のもおととしのもとってある)。 Salon Du Chocola 2018のインタビューでは、「果実との見えない絆づくりを大切にする」というニュアンスのメッセージを残しています。なんてサン=テグジュペリ的! そんな彼女の果実に対する哲学も相まって、年々魅力にはまる一方なのです。

https://www.christineferber.com/

■Madame Delluc

−Mary Dellucのストーリーは、芸術とグルメの物語であり、創造性に富んだパイオニアです。

そんな言葉で始まるブランドコンセプト、惹かれないなんてことあるの? ベルギー王室御用達の冠を持つ8つのブランドの中で、女性が始めたショコラトリーは唯一Madame Dullucのみ。 とにかくパッケージが可愛い、可愛い、美しい、可愛い。 創業者のMaryはチョコレートの品質はもちろんのこと、ディスプレイやボックスを美しく見せることにもこだわりぬいたという軌跡がある。 一言では表せないくらい、闘いや悩み、傷ついた出来事も数多くあっただろうけれど、そんなことを微塵も感じさせないエレガントさ。まさに、優雅な生活こそ一番の復讐である。 京都の町屋フュージョンの店舗にも、是非足を運びたい。

https://madamedelluc.jp/

■Le Chocolat Alain Ducasse

高級チョコレートっていうほどおいしくないでしょ〜という概念を変えてくれたメゾン。 クラフト紙で仕立てたサステナブルなボックスに詰められてたガナッシュたちに、職人気質を感じます。 新しいようで伝統的、定番のようで革新的、不思議な感覚に陥るチョコレート。 本当にどれを選んでもおいしいけれど、バレンタイン限定のCŒUR SAINT VALENTINが気になります。

https://lechocolat-alainducasse.jp/

最高のショコラとともに、幸せなバレンタインを♡


Oh Holy Night ~BCJのクリスマス~

11月も半ばになり、街中がクリスマスカラーに色づいてきた。 ディケンズアガサ・クリスティーの小説を引っ張りだして、待降節を待ちわびる。 この時期はクリスマス・ソングとジンジャーブレッドラテを堪能するために、スターバックスに足を運ぶ機会も増える。 フランスのノエルも好きだけれど、プロテスタント育ちの私が思い浮かべるのはディズニーチャンネルや『ゴシップガール』、『ホーム・アローン』で垣間見たアメリカのクリスマス。 それからバッハの音楽。

J.S.バッハの音楽を楽しむ方法はたくさんあるけれど、まず私がおすすめしたいのはバッハ・コレギウム・ジャパン演奏家、指揮者、学者としても高い評価を受けている鈴木雅明が設立し、J.S.バッハの宗教作品を中心にバロック音楽の理想的な演奏方法を追求し続け、世界的にも高い評価を受けている楽団。 クラシック音楽の中でも古い時代の音楽を主体としているのに、演奏や取り組みがとことん新しいのがこの楽団の魅力だと思う。バロックや宗教音楽はすごく堅いイメージがあって、長いこと苦手だったのだけど、BCJに出会ってからはもう夢中。すっかり古楽の虜になってしまった。

もともとプロテスタント教会で賛美歌を積極的に歌うようになったのは、信徒が積極的に礼拝に参加し、聖書の言葉をより深く理解できるようにと、マルティン・ルターが積極的に賛美歌を作曲したり、音楽的な活動を進めたことに起因する。 ドイツ・プロテスタント音楽の作曲家・演奏家として名をはせたJ.S.バッハも多分に漏れず、音楽を通して聖書(=神の言葉)を理解することが最高の祝福だと信じ、たくさんの名曲を書き続けてきた。 ドイツ・オルガンミサとも呼ばれている《クラヴィーア練習曲集第3巻》の初版譜には、こう記されている。

教理問答歌その他の賛美に基づく、オルガンのための種々の前奏曲からなる。 愛好家、および、とくにこの種の作品に精通する人々の心の慰めとなるように。 ―東京書籍「バッハ事典」より

J.S.バッハの素晴らしいところはいくつもあるけれど、音楽性がどこまでもニュートラルなところ。 感情を高ぶらせることなく、落ち着かせるとも違う、フラットな姿勢で音楽を聞かせてくれるところ。 それから、これはなぜだかわからないけれど、ピアノを習いたての子どもが弾いても、プロが弾いても、良さが引き出せる音楽になること。 つたない演奏でもきちんと感動できることを実感すると、「偉大な音楽の下では、だれもがみな平等になるのだ」という言葉を思い出す。 御心に敵う人であれ、という聖書の教えがある。誰を拒むことなく、すべてのことを受け容れようということ。 オルガンの響きや美しい合唱ともに、やさしい心でクリスマスを迎えられますように。


RECOMEND

きよしこの夜/BCJのクリスマス(Verbum Caro Factum Est A Christmas Greeting) 鈴木雅明バッハ・コレギウム・ジャパン、鈴木優人

鈴木優人による企画・構成・演出で、2013年より始まったクリスマス・コンサート。 2017年までの5年間で演奏された曲の中から、選りすぐりのクリスマス・キャロルを19曲収録。 鈴木優人による編曲が、原曲の美しさに新しい魅力を生み出している。「きよしこの夜」や「あめにはさかえ」など、だれでも聴いたことのある賛美歌のほか、フランスの作曲家ダカンによるオルガン曲も収録されていて、クリスマス気分を存分に味わえる1枚。 BCJの演奏をはじめて聴く人や、クラシックビギナーへのクリスマスプレゼントにもおすすめ。

ヴィクトリア気分で:英国と紅茶のあれこれ

イギリス人は、本当に紅茶をよく飲むと思う。 『17歳の肖像』で悲しみに暮れて部屋にこもるジェーンのために、パパがそっとドアの前に置いたのも紅茶だし、『ダンケルク』で、傷ついた兵士たちが乗り込んだ船で配られたのも、ジャム入りブレッドと熱々の紅茶だった。 『ハリー・ポッター』でハグリットが雑に紅茶を淹れるシーンも記憶に残っている。 『くまのプーさん』にも『パディントン』にも登場するし、楽しいときも悲しいときも、憧れの英国の物語には、いつだって紅茶とティー・ポットが背景のひとつにある。

英国式ティー・タイムの種類は、ざっと数えても10ほど存在する。 朝目覚めてすぐのアーリー・モーニングティーと、朝食時のブレックファスト・ティー、休日や来客時の午後4時ごろにいただくアフタヌーンティー、夕食後にくつろぎながらミルクティーやチョコレートをとるアフターディナーティーなど、ここでは説明しきれないほど。 その中で、私たちにとって一番なじみがあるのは、アフタヌーンティーではないだろうか。

1840年頃に第7代ベッドフォード公爵夫人のアンナ・マリアによってはじめられたというアフタヌーンティー。 まだ一日2食が常識だったころ、社交の時間として夕方頃にティー・タイムをはじめたことが由来とされており、格式高いものとして発展された(ちなみに、アフタヌーンティーは上流階級だけの特権であり、労働者階級のティー・タイムは「ハイ・ティー」と表現される)。 下段から順にサンドウィッチ、スコーン、ケーキの順にいただく。 スコーンにはクロテッドクリームをたっぷりつけて! マナーは検索すれば星の数ほど出てくるから、ここでは割愛。

イギリス人はみんなミルクティーが好き、ていう記事も読んだことがあるけれど、ブライトン出身の知人はいつもリプトンのストレートを飲んでいるから、人によるんだと思う。

私は、ミルクをたっぷり入れて飲むのが好き。 紅茶にいちごジャムを入れて飲むのも好き…と思ったら、それはロシア式の飲み方らしい。 やっぱり紅茶って奥深い。

SELECTION: England

TWININGアールグレイ https://www.twinings-tea.jp/products/ スーパーマーケットで買える、最高クオリティのティーバッグ。 特別なコツがなくても、誰でも手軽においしく淹れることができるのもポイント。 本国ではMark's and Spencerの紅茶も人気。 WalkersやMacVitie'sのビスケットと一緒に、気軽なティー・タイムを。

ダウントン・アビー

20世紀前半のイギリスを舞台に、伯爵家を描いた人気ドラマシリーズ。 メロドラマの中に世界大戦や社会情勢なども織り込まれていて、その時代背景を密に感じ取ることができる。 物語に登場する、数々の紅茶のシーンも見逃せない。 紅茶の入れ方やティーカップの持ち方、細やかな仕草まで、「ダウントン・アビー式」のアフタヌーンティー作法を学んで。

チェルシー・フラワー・ショー 2018

チェルシー・フラワー・ショー(RHS Chelsea Flower Show)」が今年も開催されました。 100年以上続く、イギリス最高の園芸のセレブレーション。 2018年は5月22日〜28日に開催され、花と緑で溢れた5日間に。

チェルシー・フラワー・ショーとは?

イギリス、王立園芸協会(RHS)が主催し、毎年5月にロンドンのチェルシー地区にあるロイヤルホスピタルで開催されるガーデン・ショー。正式名称はグレート・スプリング・ショー(the Great Spring Show)。エリザベス女王をはじめ王室メンバーも来訪し、イギリスのみならず世界中の園芸ファンが集まる、「園芸のオリンピック」とも言われる祭典です。 ガーデンデザイナーのデザインを再現したガーデンは、池を作ったり巨大な石を用いたり、と大規模な施工を必要とする本格的なものばかり。

2018年の「ショー・ガーデン」部門のゴールドメダルを受賞したのは、マーク・グレゴリーがデザインした”Welcome toYorkshire”。ヨークシャー・デイルズから感銘を受けて作られた、石造りの家に木々と花々をたくさん彩ったロマンティックなコテージガーデンです。 ラベンダーがたくさん植えられているのも、北部らしさを感じます。

ガーデン・ショーのほか、街中もたくさんの花で作られたオブジェがいっぱい。 SNSで人気だったのは、コヴェント・ガーデンにあるJo Maloneのインスタレーション。ピンクの車に溢れんばかりの花を詰め込んだ、ラヴリーすぎる作品♡

Photo by @daintydressdiaries

Èlan Cafeにある自転車もとっても可愛い!こんな自転車に乗ってロンドン中に駆け巡るお花屋さんになりたい。

Photo by @daintydressdiaries

イギリスには数多くのガーデン・ショーがあるけれど、チェルシー・フラワー・ショーは格別です。いつか実際に行ける日を夢見て、お庭づくりを学ぼうと思います。

公式サイト:https://www.rhs.org.uk

花曇りのばら園

お行き、幸せなばらよ ニーチェの胸で安らぐために Vanne, o rosa fortunata A posar di Nice in petto ──《Vanne, o rosa fortunata》 ベッリーニ作曲・作詞者不明


5月も終盤。ばらのシーズンも真っ盛りとなった先日は浜松市中区にあるばら園へ。 亡くなった奥様のために、旦那様がつくったというばら園。

生前、ばらが大好きだった奥様は、亡くなる直前、最後に出かける場所に選んだのもばら園でした。茶畑の仕事で苦労をかけたからと、二人で手がけていた茶畑を造園しなおしたのだそう・・・ 約10年のあいだ、少しずつ手を加えたばら園はとても見事で、愛に溢れた空間でした。 ここで結婚式を挙げたカップルもいるのだとか。 ご夫婦の愛がばらに寄り添っているようで、眺めているだけで幸せを分けてもらえます。

ばらがいちばん美しいのは、朝露の残っている朝9時ごろ。晴れの日のばらは少しお疲れ、曇りや霧雨の日はご機嫌。 この日はちょうど良い花曇りの日で、ばらの表情も心なしか明るく感じました。

花桃、ユリ、クリスマスローズなどもあり、それぞれの季節にまた見頃の季節を迎えます。 個人宅の庭園を一般公開しているので、入場料もありません。 ですが、入口付近に募金箱がありますので、お帰りの際はぜひ投げ銭をおねがいいたします。

壮大な庭園ではありませんが、愛をたくさん感じられる”秘密の花園”に、ぜひ足を運んでみてください。

ACCESS

■ばらの都苑 研究畑 静岡県浜松市中区花川町1288(花川小学校北東)

パリ発のデイリーオーガニックケア・CATTIER

1968年、フランス・パリで生まれたオーガニックコスメ CATTIER(カティエ)。 フランスで古くから美容と健康に良いとされてきたクレイを使ってナチュラルコスメを作ったことが、カティエ創業のはじまりです。 全ての製品でECCOCERT(ヨーロッパを中心とした世界20カ国以上の国で採用されている国際有機認定機関)、COSMEBIOを取得している高品質のオーガニックコスメブランド。 お値段もとってもリーズナブル! オーガニックビギナーでも毎日のお手入れに取り入れることができる気軽さがうれしい。 クレイの他に、自然の素材を配合したローションやクリーム、シアバター、ヘアケア、オーラルケアも。

今回はクレイのフェイスパックをお試し。デリケート肌用のピンクを選んでみました。 ミネラルが豊富で、アロエベラエキスとシアバターがうるおいを与えてくれます。 くすみがちなお肌の汚れをしっかりととってくれて、なめらかなお肌に。 スクラブと違い、肌を傷つけることがないので、肌が荒れやすい敏感肌でもやさしくお手入れができました。

パリ流のシンプルなオーガニックケアで、健やかな素肌になれますように!

CATTIER公式サイト:http://www.cattier-paris.jp/